サステナビリティ経営(SX:サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは、環境や社会の持続可能性を、企業経営の中心に据える考え方です。多くの企業はまず、ある指標や基準に自社のビジネスを合わせることから始めます。それも必要な一歩ですが、本質はその先——自社の主力事業そのものを、社会のサステナビリティに貢献する形へと変えていくことにあります。数字を合わせることが目的ではないのです。
SXとESG・SDGs・GXの違い
ESGは投資家が企業を評価する「ものさし」(環境・社会・ガバナンス)です。SDGsは国連が定めた2030年までの世界共通の「目標リスト」です。どちらも重要ですが、外側にある基準や目標です。
SXはこれらと次元が異なります。外の基準に自社を合わせるのではなく、自社の本業そのもの——何で儲けるのか——をサステナブルな形につくり変える経営の変革です。ESGスコアの改善やSDGsのラベリングは、SXの結果として後からついてくるものであり、目的ではありません。
GXが脱炭素を軸にした社会・事業の変革を指すのに対し、SXはそれを含む、より広い経営全体の転換を指します。詳しくはGX(グリーン・トランスフォーメーション)とは?をご覧ください。
多くの企業が最初にやること:「基準に合わせる」
サステナビリティ経営やSXに取り組むとき、多くの日本企業がまず行うのは、国際基準や評価指標に自社を合わせる作業です。外部のコンサルティングを活用して進めるケースも少なくありません。これは信頼を得る上でも必要な一歩です。ただし、指標を満たすこと自体が目的化しやすく、「それだけでは本質的なサステナビリティ経営とは言えない」——これは、支援に携わる専門家の間でも共有されつつある認識です。
サステナビリティ経営の根幹:事業そのものを変える
サステナビリティ経営の根幹は、自社のメイン事業・ビジネスそのものを、数値の上だけでなく、社会的な意味でも持続可能に貢献するやり方へとシフトさせることです。つまり、別のところで環境活動をするのではなく、本業のもうけ方そのものを問い直す。ここが、指標を満たす作業とは決定的に異なる部分です。
多くの企業が立ち止まるポイント
「では、自社の事業をどう変えれば良いのか」——この問いの前で、多くの企業が立ち止まってしまいます。数値管理から一歩踏み込んで、事業のあり方そのものを問い直すには、これまでの前提や成功体験を一度手放す必要があるからです。だからこそ、ここにこそ伴走する価値があります。
サステナビリティと利益は、両立できる
ここで多くの人が抱く懸念があります。「サステナブルにシフトすれば、儀けを失うのではないか」というものです。しかし、シフトした結果利益を失ってしまっては、企業として意味がありません。サステナビリティ経営の本質的なシフトとは、サステナブルへと転換したうえで、きちんと利益を出すことです。一見矛盾するように見える「サステナビリティの追求」と「利益の追求」——この両立をこそ実現するのが、Build Vision B.V. のSXの大きな特徴です。
両立を実現する3つの設計原則
サステナビリティと利益の両立は、精神論では実現しません。私たちが欧州の実例から抽出した設計原則は3つあります。
1. 転換を「コスト」ではなく「複層的リターン」で設計する:木を植える一手が気温・生物多様性・健康・売上に同時に効くように、事業の転換も複数のリターン(コスト削減・ブランド・採用・新市場)が重なる打ち手から着手します。
2. 資源を「使い捨てる前提」から「巡らせる前提」へ:マテリアルパスポートの発想(提唱者:Thomas Rau氏)に学び、製品・資材を「将来の資源」として設計すれば、廃棄コストが資産に変わります。ゴミとはアイデンティティを失った素材である——この視点の転換が、新しい収益構造を生みます。Rau氏の著書『マテリアル循環革命』に、この発想の全体像が示されています。
3. 欧州の一次情報で「すでに機能している答え」から逆算する:ゼロから試行錯誤するのではなく、欧州で実際に利益を出しながら回っている事業モデルや、失敗して撤回された施策を参照点にすることで、転換の速度とROI精度が大きく変わります。私たちが提携パートナーであるヘルシンキやラハティ、そしてBLOXHUBやAMS Instituteといった欧州の都市・機関との近い関係を保ち続けているのは、この参照点を常に最新に保つためです。
私たちのサポート:ここからが本番
Build Vision B.V. は、基準に合わせる段階のその先——主力事業そのものをサステナブルに転換する段階を、欧州の一次情報と先進事例をもとに伴走します。数値対応ではない、根本からのサステナビリティ経営・GX・SXを、企業・自治体とともに設計します。
サステナビリティ経営・SXのご相談
自社の事業をどうサステナブルに転換していくかを一緒に考えたい方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. SXとESG経営は何が違いますか?
ESGは投資家が企業を外側から評価する基準であり、ESG経営はその基準への適合を重視する経営です。SXは基準への適合ではなく、本業そのもの——収益の生み出し方——をサステナブルな形につくり変える変革を指します。ESGスコアはSXの結果として改善されるものです。
Q. サステナビリティに転換すると利益は減りませんか?
転換の設計次第です。転換して儲けを失えば企業として意味がなく、それはSXとは呼べません。欧州には、資源循環やグリーンシフトを収益構造の転換とセットで実現している企業・都市の実例が多数あり、それらを参照点に「転換した上で利益を出す」道筋を設計することが可能です。この両立の設計こそ、私たちがSX支援で最も重視している点です。
Q. 中小企業にもSXは関係ありますか?
あります。取引先の大企業からサプライチェーン全体での対応を求められる流れは中小企業にも及んでいます。ただし本質は「対応」ではなく機会です。規模が小さいほど本業の転換は速く実行でき、先行すれば大企業の調達要件の変化がそのまま商機になります。
Q. SXはどこから着手すべきですか?
認証取得や報告書作成からではなく、「自社は何で儲けており、その儲け方は10年後も成立するか」という問いから始めることをお勧めします。そのうえで、本業の転換シナリオを複層的リターンの視点で設計します。Build Vision B.V.は欧州の一次情報をもとに、この設計と実行を伴走支援します。
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執筆・監修
吉田 和充(よしだ かずみつ) — Build Vision B.V. CEO / クリエイティブディレクター
オランダを拠点に、日本と欧州をつなぐクリエイティブコンサルティングファーム Build Vision B.V. を設立・主宰。欧州移住10年以上の知見や、欧州・北欧の自治体・企業とのパートナーシップを通じて、都市づくり・食・エネルギー・環境など幅広い領域でサステナビリティ・プロジェクトを手がける。単純に指標や基準に合わせる施策ではなく、根本的なサステナブル経営、企業や自治体のGX・SXのサポートを得意とする。Regenerative Community Tokyo 発起人。

