European Inspection - Build Vision B.V. 関連画像

リジェネラティブシティとは?サステナブルとの違いと、欧州の再生型のまちづくり

リジェネラティブシティ(Regenerative City/再生型都市)とは、環境への負荷を「減らす」ことにとどまらず、生態系やコミュニティを積極的に回復・再生させることを目指す都市のあり方です。「持続可能(サステナブル)」が害を最小化する発想であるのに対し、リジェネラティブは自然や社会をより良い状態へと再生させる——プラスを生み出す点に特徴があります。

サステナブルとの違い

サステナビリティ(持続可能性)は、これまで多くの都市の目標とされてきましたが、その多くは「悪影響をできるだけ小さくする」ことに焦点が当たっていました。一方リジェネラティブな都市づくりは、資源の消費を生態系が回復できる範囲に抑えるだけでなく、都市が依存する生態系そのものの再生能力を高め、傾向を反転させることを目指します。人間を自然や社会生態系の一部ととらえ、システム思考と多様な関係者の協働を重視する点も特徴です。

欧州のリジェネラティブなまちづくりの特徴

Build Vision B.V.がオランダを拠点に欧州各国を視察してきた中で見えてきたのは、先進的な都市ほど、環境・食・エネルギー・コミュニティを切り離さず、ひとつのシステムとして再設計しているという点です。行政・企業・市民・研究機関が横断的に連携し、単に基準を満たすのではなく、地域の資源や文化を活かして価値を生み出す取り組みが進んでいます。

日本での取り組み:Regenerative Community Tokyo

Build Vision B.V. は、欧州で培った知見を日本に還元するため、「Regenerative Community Tokyo」を発起・運営しています。デンマークのBLOXHUBやフィンランドのHelsinki Partnersなど、欧州・北欧の先進機関とも連携しながら、日本の都市・地域におけるリジェネラティブな取り組みを支援しています。

リジェネラティブシティに向かう3つの視点

1. 「戻す」から「増やす」へ:省エネ・削減(サステナブル)はマイナスをゼロに近づける発想です。リジェネラティブは、緑・生物多様性・土壌・コミュニティといった資本を、都市の活動を通じてむしろ増やしていく発想に立ちます。

2. 資材と空間に「アイデンティティ」を与える:建物や製品の資材に識別情報を持たせ、廃棄物ではなく「将来の資源」として扱うマテリアルパスポートの考え方は、都市を資源の貯蔵庫(アーバンマイニング)に変えます。ゴミとは、アイデンティティを失った素材のことです。この考え方の全体像は、提唱者Thomas Rau氏(RAU Architects)の著書『マテリアル循環革命』にまとめられています。ぜひ参照してみてください。

3. 人の営みを再生の駆動力にする:人が住み、働き、楽しむこと自体が環境を再生する仕組みをデザインします。歩行者中心の街路が店舗の売上と大気の質を同時に改善するように、経済活動と再生は対立しません。

リジェネラティブなまちづくりのご相談

Build Vision B.V. は、欧州の一次情報をもとに、日本企業・自治体のサステナビリティ戦略、欧州視察、市場調査を支援しています。リジェネラティブな都市づくりやサステナビリティ経営についてのご相談を承ります。

よくある質問(FAQ)

Q. サステナブルとリジェネラティブの違いは何ですか?

サステナブル(持続可能)は「これ以上悪化させない・維持する」ことを目指す考え方です。リジェネラティブ(再生型)はさらに一歩進み、都市の活動を通じて自然環境やコミュニティを以前より豊かな状態に「再生・増幅」させていく考え方です。マイナスをゼロにするのがサステナブル、ゼロをプラスに転じるのがリジェネラティブと整理できます。

Q. リジェネラティブシティの代表例はどこですか?

欧州では、アムステルダム(サーキュラーエコノミーとマテリアルパスポートの実装)、コペンハーゲン(人中心の都市設計)、ラハティ(廃棄物の99%以上を資源化)のほか、ヘルシンキ(2025年の石炭火力全停止)、パリ(15分都市)、ストックホルム、ハーグなどが先行しています。重要なのは一発の大規模開発ではなく、資源・緑・人の営みを再生の方向へ束ね直す都市運営です。

Q. 日本にリジェネラティブシティの動きはありますか?

あります。私たちはRegenerative Community Tokyo(RCT)を立ち上げ、企業・行政・クリエイターとともに日本の文脈での実践を進めています。また、WIRED日本版vol.54「The Regenerative City」特集など、概念の紹介も進んでいます。

Q. 企業や自治体は何から始めればよいですか?

自社・自地域の活動が「奪っているもの」と「再生できるもの」を棚卸しすることが出発点です。そのうえで、緑・資材・人流など再生可能な資本を特定し、小規模でも「活動するほど環境が良くなる」仕組みを一つ実装することをお勧めします。

関連記事

執筆・監修

吉田 和充(よしだ かずみつ) — Build Vision B.V. CEO / クリエイティブディレクター
オランダを拠点に、日本と欧州をつなぐクリエイティブコンサルティングファーム Build Vision B.V. を設立・主宰。欧州移住10年以上の知見や、欧州・北欧の自治体・企業とのパートナーシップを通じて、都市づくり・食・エネルギー・環境など幅広い領域でサステナビリティ・プロジェクトを手がける。単純に指標や基準に合わせる施策ではなく、根本的なサステナブル経営、企業や自治体のGX・SXのサポートを得意とする。Regenerative Community Tokyo 発起人。

上部へスクロール